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おかげさま

金波羅華

仏具屋の仕事には、ご家庭用のお仏壇や仏具の販売だけでなくお寺様の御用があります。お寺様の御用というのは、御本尊や須弥壇、御本堂内陣など一切の荘厳具の製作や修復を受け賜りお納めする仕事です。うちは代々「決して安直な商売をしてはなりません、信用と実績を大切にして、お寺様への御用に誇りを持ってやりなさい」と言われてきました。初代は美濃国の祖父江から京都嵯峨に出てきた御所侍でしたが、ときの天龍寺管長猊下の計らいで第四代南禅寺派管長、豊田毒湛老師に出会い、同郷の従兄弟にあたる事が分かったのが仏縁となり、刀を捨てお寺様の御用を勤めるようになりました。そして此の仕事を唯一無二のものとしなさいという老師の教えを守り続けて五代目の私共に至るまで大本山御用達京佛匠の看板を戴いております。

自分は二十六歳でこの仕事を継ぐまで、父や祖父がどんな仕事をしてきたのか、よくは知りませんでしたが、仕事を始めるにあたりご挨拶に伺うと、初めてお会いする方々から「あんたんとこのおじいさんや、ひいおばあさんには、よう世話になった」とよく言ってもらえました。そのような言葉を頂戴して「ご先祖のおかげで仕事をさせていただけているんや」と実感しました。
継いだばかりの頃はITの導入とか、何か新しいことをしようと肩に力が入っていました。でも、無理に自分の色を出そうと焦ることはない。栗山三佛堂が代々一所懸命にやってきた仕事を僕もきっちりと素直にやっていけばいいと気づき気持ちが楽になりました。

仏教の精神は私たちの日常生活の中に自然な形で生きていると思います。例えば「ありがとう」、「いただきます」、「ごちそうさま」と自然に手を合わせますよね。自分はこの仕事を通じてそうした素直な感謝の心を伝えていきたいと感じています。仏様の前で手を合わせるって、いいものですよ。色々なことに気づかされたり、気持ちが落ち着いたり、豊かな時間を過ごせます。そういう心や時間を自分の次の代まで末永く伝えていけるよう、今の自分にできることを精一杯やっていきたいと考えています。

栗山三佛堂 栗山貴詞

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