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比叡山に登る(3)-慈恵大師の墓-

慈恵大師の墓


西塔からぐっと足を伸ばして、横川は華芳ヶ尾の元三大師(912~985)の廟に詣る。

元三大師廟は御廟(みみょう)と呼ばれ、比叡山の三魔所の一つとして恐れられて来た場所である。今でも周囲には古木鬱蒼とした自然林が保たれており、まさに天狗でも出てきそうな雰囲気である。

元三大師は諱を良源、諡を慈恵という。第18代天台座主として、延暦寺を一大勢力にまで発展させた人物である。後世、観音菩薩の化身としてその霊威が恐れられ、元三大師信仰が発生した。現在でも角大師や豆大師の護符として親しまれている。

良源は滅に備えて遺告を残しているが、その中に自分の墓所についても詳細に述べている。火葬の後、遺骨を坑底に置きそのまま土をかけ、自筆の陀羅尼類を納めた上に目印程度の石塔婆を建てよ、と。簡素だが念を入れた墓作りを弟子たちに指示している。

石柵で囲った墓域内の木の根元に、素朴な八角柱の石幢が立つ。自然の中に埋もれながらも、侵しがたい尊厳性のただよう墓。日本人の墓としては理想の姿であろう。

比叡山に登る(1)

比叡山に登る(2)

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