トップページ » 4.スタッフ便り » "THIS IS IT" マイケル・ジャクソンとアラン・ワッツ

"THIS IS IT" マイケル・ジャクソンとアラン・ワッツ




mj_thisisit_wp_800.jpg

今やロードショーは終わり、一部で追加上演となってしまっている映画だが、やっと、マイケル・ジャクソンの "THIS IS IT" を観ることができた。
彼の音楽はラジオなどでよく耳にはしていたが、実のところ、CDを買ったりというほどのファンでもなかった。
しかし、予定されていた久しぶりの大会場での公演の目前に、あまりにも突然で謎めいた死をとげたことがニュースで報道され、そして、公演のリハーサル模様の映像を収めた "THIS IS IT" というドキュメンタリー映画が上映されると聞いて、是非観てみたいと思っていたのだ。

映画には予想以上にいたく感動した。ドキュメンタリーなのでとてもリアリティがあり、彼の音楽性がコンサートに向けてどうやって実現されていくのかが、事細かに記録されていたため、私が今まで感じていたマイケル・ジャクソンに対するイメージが一新したのだ。
彼はセールスのおかげでものすごい資産家となり、湯水のようにお金を使い、ネバーランドという夢の国のような家を持ち、整形を繰り返していたアーティストであったから、どちらかというと、遠い世界の人で共感するようなことがなかったのだ。
しかし、映画でみたマイケルは、自分の意志をとても繊細に丁寧にスタッフに伝え、そしてスタッフに気を配り、いいものを作り上げていくという真摯な姿勢であって、とてもすばらしいと思った。
そして、彼が訴えたかったのは、「今すぐ地球を救わなければ」ということだった。エンディングロールが終わって後に、さらにそのメッセージが繰り返されていた。人類愛に満ちた人だったのだと思った。

彼は昨年七月に行なわれるはずだった久しぶりの公演開催を発表したときに言った言葉が、映画のタイトルにもなった、"THIS IS IT" であったのだが、ではその意味はなんだったのだろうか。
映画では、発表時のメッセージの字幕に、「これは、ファイナル・カーテン・コールだ」と訳されていたように思った。
また、同名のアルバムの日本語訳には「これは本当だ」と訳されているらしい。
私は、「ここが一番大事なところだ!」というニュアンスに受け取ったのだが……。

ところで、1960年代に、禅や仏教思想を西洋にもたらしたヒッピー哲学のさきがけといってよい学者、アラン・ワッツ(Alan Watts)という人がいた。この人の書いた本に、"THIS IS IT" というものがあると聞いた。翻訳本もないし、原書も読んだわけではないが、これはきっと禅的な言葉であるに違いない。
彼は鈴木大拙博士とも深い関わりのあった人だ。鈴木大拙写真集『相貌と風貌』(禅文化研究所刊)にも、ワッツとの写真が2点収められている。上田閑照博士は、その写真の紹介文に、「ワッツが21歳の時に、世界信仰会議での鈴木大拙博士の講演を聞いて、Zenに深い関心を寄せるようになった」と記されている。

さて、マイケル・ジャクソンの信奉した宗教は知らないが、あるいは、この本を知っていて、この言葉を使ったのではないだろうかと憶測した。とすれば、マイケルの "THIS IS IT" も、「一番大事なのはそれ!」ということになるのか……。

this-is-it.jpg
by admin  at 07:30
コメント
  1. こんにちは!

    「THIS IS IT」…私も全く同感です。
    愛にあふれたメッセージ性のある内容に、どれほど感激したことでしょう。私は2回ですが、(禅文化研究所のNKさんもご存じ)私の京都の友人たちは5、6回観たようです^^そしてそれぞれのブログに、とても素晴らしいコメントを書いていました。

    でもアラン・ワッツの「ThIs Is IT」の本のことは知りませんでした。そういえば、以前、マイケルが
    「禅」のことを語っていた記事を目にしたことがあります。きっと…そうですね。何だか嬉しくなりますね。このこと、京都のあのMさんにも伝えておきます。いつも素晴らしい情報をありがとうございます。それにしても、この記事書かれたのはどなたでしょう。いつも気になってしまいます(笑)

    by みこ  2010年1月22日 11:12
  2. みこさま、コメントをありがとうございます。
    2回どころか5~6回も観た方がおられるとは驚きました。ほんとは2週間限定公開だったようですね。
    なんとか劇場で見られて幸いでした。DVDも買ってしまおうかなと思ったり……。
    余談ですが、あの映画に出ていたブロンズロングヘアのリードギタリストがあまりに格好良くて、まもなく発売される彼女の初CDを予約購入してしまいました。(笑)

    ところで、マイケルはやはり禅のことを語っていたことがあるのですか。なにか記録にあればいいのですが、思い出したら教えてくださいね。
    となると、アラン・ワッツの本のタイトルは当たりかもしれませんね。

    さて、今回の記事を書いたのは、みこさんと研究所でお会いした某僧侶でした。またどうぞお越しください。

    by 禅文化研究所  2010年1月22日 11:29
  3. みこさん、こんにちは。いつもありがとうございます。
    さて、私も実は京都のMさんやみこさん(どちらもブログ拝読しています)、そして上司までもが感動の渦!という事で、観て参りました。
    「私達は、世界は、惜しい人を失ったな。なんでこんなにも早く逝ってしまったのだろう」と思いました。
    考えてみれば私の世代は、衛星放送が始まり、WOWOWなどでマイケルのミュージックビデオクリップを観て育ちました。懐かしい映像もたくさんでした。今、私の部屋ではマイケルばかりがかかっています。
    彼のような影響力ある人の波動で、我々個人が、少しでも何かできることは無いだろうか……と、日々の生活の中で小さな事でも改めてゆけば、世界は少しずつ変わっていくのかなと思いました。

    by 禅文化研究所NK  2010年1月22日 11:37
  4. みこさん、おはようございます。
    ちょっと遅くなりましたが、みこさんのブログの記事「THIS IS IT の意味は?」を読ませていただきました。
    見つけてくださった記事は、確かにMJが ZEN に関心を持っていたのではないかと想像できる文章ですね。
    ありがとうございました。あらためて、MJのご冥福をお祈りします。

    by 禅文化研究所  2010年1月27日 09:26
コメントを書く




保存しますか?


(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)


画像の中に見える文字を入力してください。